子どもが学校に行きたくないと主張するとき、親としてはその原因が何か知りたいものですよね。
「不登校」は子どもの安全安心が脅かされた結果として表出してきたものとも言えますが、今回は子どもは身体の成長の只中にいるという視点で長期欠席・不登校となってしまう身体的な原因を考えてみたいと思います。
結論から言うと、「朝起きれない」状態は起立性調節障害という身体の病気である可能性があります。思春期の10人に1人が発症するとも言われています。
起立性調節障害(OD:Orthosatic Dysregulation)という身体の病気によるものの可能性がある
病気であるので、医療機関と連携が必要不可欠
起立性調節障害とは
起立性調節障害(OD:Orthosatic Dysregulation)は、主に思春期の10人に1人が発症する自律神経系の不調からくる「身体の病気」です。
症状
身体の循環系を調節している自律神経の調節不全が生じ、脳や全身に必要な血液が行き渡らないので、立ちくらみ・めまい・動悸・朝起きられない・倦怠感・頭痛・腹痛などの様々な症状が出てきます。
起立時に身体や脳への血流が低下する病気で、以下のような症状がおこります。
- 立ちくらみ
- めまい
- 動悸
- 朝起きられない
- 倦怠感
- 頭痛
- 腹痛 など
- 無気力
- 思考力低下
- 記憶力の低下
- 成績の低下
- イライラ
- 慢性疲労
- 寝つきが悪い など
理解されにくい
これらの症状が起床時に強く表れると登校できなくなることもあります。
つまり、「朝、起きたいのに起きられない」という状態が発生します。
「起きたいのに起きられない」と本人が辛い気持ちを抱えているのに、朝の不調が不登校の初期症状に似ているので、心理的な問題を指摘されたり、「怠け」や「さぼり」と誤解が生じてしまい、それが長期欠席のきっかけとなってしまうこともあります。
日常生活にみられる特徴
このように本人の辛さが理解されにくい起立性調節障害ですが、特徴的なエピソードもいくつか見られているので参考にするとよいでしょう。
- 朝起こしてもらっているのに記憶にない
- 布団から出てもボーっとして着替えない
- 朝気分が悪い・朝ごはんが食べられない
- 午前と午後で反応が異なる
- 体がだるい・疲れがとれない・回復に時間がかかる
など
各症状は一日の中であったり季節によっても変動しやすく、比較的調子が良い時と悪い時があります。
- 午前中に調子が悪い
- 午後になると徐々に回復
- 夕方から就寝前はむしろ活動的
- 季節の変わり目に症状が悪化しやすい
- 天候(気圧の変化)なども影響
一般的な治療方法
症状の重症度によって異なりますが、軽症の場合はセルフケアからはじめます。処方薬もありますが、日常生活を工夫することが最も重要です。
- 規則正しい生活を心がける
- 水分をしっかりとる
- 毎日15分程度の散歩などの運動を無理のない範囲で実施する
- 医師の指示に従って内服をする
症状が見られる時は受診も選択肢に
起立性調節障害は珍しい病気ではありません。軽症の例を含めると小学生の約5%、中学生の約10%に存在し、その中で重症は約1%とされています。女子は男子より2割ほど多く、一般に二次性徴が出現する頃に発症する場合が多いと言われています。
近年、原因ははっきりしていませんが、起立性調節障害と診断される子どもは増えています。運動不足や複雑化・夜型化した社会における心理社会的なストレスが背景にあると言われています。
注目すべきは、起立性調節障害の半数以上が長期欠席状態に至ること、また、長期欠席状態の子どもの3~4割が起立性調節障害を併発すると言われていることです。
親としてできることは、ご紹介した症状が見られる早い段階で起立性調節障害を疑い、まずは本人を労わることと次に医療機関などと連携することです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「朝、起きられない」状態が続くようであれば、本人の話に耳を傾け症状があてはまるようであれば、保健室の先生や医療機関に相談することを本人と話し合ってみてください。
- 「朝起きられない」のは起立性調節障害のせいかもしれない
- 起立性調節障害の辛さは見た目では分かりにくい
- 起立性調節障害は医療機関との連携が必要不可欠
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